Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate

Aozora Bunko

しかしそれでいいじゃないか。それで悪いのか。私は思わず、吉良兵曹長に話しかけていた。

「吉良兵曹長。私も死ぬなら、死ぬ時だけでも美しく死のうと思います」

残忍な微笑が、吉良兵曹長の唇にのぼった。毒々しい口調で、きめつけるように言った。

「おれはな、軍隊に入って、あちらこちらで戦争して来た。支那戦線にもいた。比律賓にもいたんだ。村上兵曹。焼け焦げた野原を、弾丸がひゅうひゅう飛んで来る。その間を縫って前進する。陸戦隊だ。弾丸の音がするたびに、額に突き刺さるような気がする。音の途断えた隙をねらって、気違いのように走って行く。弾丸がな、ひとつでも当れば、物すごい勢で、ぶったおれる。皆前進して、焼け果てた広っぱに独りよ。ひとりで、もがいている。そのうちに、動かなくなり、呼吸をしなくなってしまう。顔は歪んだまま、汚い血潮は、泥と一緒に固まってしまう。日が暮れて、夜が明けて、夕方鴉が何千羽とたかり、肉をつつき散らす。蛆が、また何千匹よ。そのうち夜になって冷たい雨が降り、臂の骨や背骨が、白く洗われる。もう何処の誰ともわからない。死骸か何か、判らない。村上兵曹。美しく死にたいか。