Classici giapponesi con furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate
にがい思いが咽喉までのぼって来たが、彼はそれをおさえて高城に問い返していた。
「その女は、どんな女だ」
高城は彼の顔をちらと見上げ、すぐ何か答えようとしたが、そのままはにかんだように白い歯を見せて笑った。質問を彼の好奇からと思ったらしいと宇治は考えた。宇治はきびしい表情をくずさぬまま、おっかぶせるように言った。
「こんな女ではないか。目の大きな、眉のうすい――」
「そうです。右の眼の下に大きな黒子があります」
やはりあの女かと、うずくような気持で宇治は思い出していた。
――それはまだアパリに居たときであった。その頃アパリの防衛も一応完成していて、本陣地、前進陣地、海岸陣地と三段構えが出来上っていたけれども、レイテ島からの報告によって、米軍の攻撃力を支えるにはも一度根本的な陣地改築が必要であることが判って来た。宇治は前進陣地近くの或る村にいた。応召の将校である彼は、戦略や築城については勿論間に合せの知識しかなかったが、彼の目から見ても之等の陣地が艦砲や航空機の攻撃に対して強固であるとは夢にも思えなかった。補強工事の令が発され、兵は昼夜兼行で働いた。そんな或る日、飛来した米機をめずらしくも味方の高射砲が射落し、飛行士は夕暮の空に白い花を開かせたように落下傘で降りて来た。