Classici giapponesi con furigana
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ばいしのつえ
梅颸の杖
吉川 英治
Leggi 梅颸の杖 (ばいしのつえ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.966 caratteri · 32 schermate
『…………』
『わけて、只今の私は、大事な時期に立っております。二十余年来、生命をかけて、墨と朱にまみれて参った外史の修正は、もう一両年のうちには、完稿として、世の中に送り出せる迄になりましたが、山陽は、それ位のことでは、死にきれませぬ。日本楽府、政記、そのほか、修史の業は何年あってもやりきれません。漢学革命もまだです、詩もまだです、書もまだです、山陽はすべてにまだの人間です。これから物になるか成らぬかの分れ目にいる人間です。だのに、ともすると喘ぎ出して参りました。名声に酔い、惑溺にひきこまれ、その疲れを慰そうとします。そうしているまに近頃は悪いと知りながら肉体を壊して参ります。母上、私を、昔の久太郎頃のように、お叱りくださいましお叱りくださいまし』
『襄、襄よ……』
梅※(「風にょう+思」、第4水準2-92-36)は、枕に顔をつけて、泣いた。
『そなたに済まぬことじゃ。わしは、やはり女親じゃった。わしには、強い、男親の力はもてぬ』
『母上、お気にかけて下さいますな』
『いえのう……初めて言うが、この老母こそ、広島を立つ時から、そなたを叱るつもりで上洛ったのじゃ。