Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しいのき

椎の木

豊島 与志雄

Leggi 椎の木 (しいのき) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6002 caratteri · 13 schermate

Aozora Bunko

――いやな奴が、またやって来たな。

だが烏は、じっとしていました。

椋鳥は眼をぱちつかせて、烏を見ました。

――おかしいな。こいつは、いつもいやな声で、カアカア鳴きたてるくせに、今日はどうして黙ってるのかしら。

烏は椋鳥に眼もくれないで、地面をあちこち眺め、それからまた、凧を見ながら、しきりに首をかしげています。

――ははあ、凧をこわがってるんだな。

そう思って、椋鳥はあざ笑いたくなりました。

――こいつは、ほんとにまやかし者だ。たいへん威勢がよさそうで、じつはひどくおくびょうだ。たいへん大胆なようで、じつはひどく用心ぶかい。どこかまぬけのようで、じつはわるがしこい。ほんとにまやかし者だ。烏はまだ、鳴きもせず、まばたきもせず、凧を眺めていました。

――凧がそんなにこわいのかな。それとも、なにかたくらんでるのかな。

椋鳥は凧のそばにとびうつりました。

烏は、椋鳥ではなく、やはり凧を眺め、地面をあちこち眺め、また凧を眺めました。

椋鳥はもう、なんだかがまんしかねました。くちばしで凧をつついてみせました。かさかさと音がしました。それでも、烏はまだじっと凧を眺めていました。