Classici giapponesi con furigana
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えのきものがたり
榎物語
山本 周五郎
Leggi 榎物語 (えのきものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.519 caratteri · 67 schermate
国吉のほうでも、足助老人だけは信頼できる、自分になにかあったら、老人だけは自分のちからになってくれるだろう、と思いこんでいた。――それゆえ、番頭の忠平に呼ばれて、不都合なことがあるからと解雇を云い渡されたとき、まず相談をしたのは足助老人であった。けれども、老人はぜんぜんとりあわなかった。主人のむすめと密会するとは許せないことだ。昔ならこれこれの刑罰を受けるだろうと、老人は云った。おれはおまえのことをまじめな人間だと思っていた。おまえはこの足助を騙していたのだ。おまえをもっとましな人間だと信じていたおれはばか者であった。そんなことを繰り返すだけで、国吉の云うことなど聞こうともしなかった。
国吉は小さな風呂敷包を一つ持っただけで、河見の屋敷を出ていった。すっかり日が昏れて、外はもう暗かった。門から出て石段をおりると、樵長屋の灯が見えたとき、暗がりから五六人の男がとびだして来、国吉を捉まえてさんざんなめにあわせた。殴るだけではなく、投げとばしたり、踏んだり蹴とばしたりした。
「山猿どころかぬすっとだ」と男の一人がどなった、「ぬすっとより悪い野郎だぞ」
「この辺へ近よるな」