Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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えのきものがたり

榎物語

山本 周五郎

Leggi 榎物語 (えのきものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.519 caratteri · 67 schermate

Aozora Bunko

四たびめに二人は夫婦約束をした。健次は二十五になると店を持つことができる、それまで待ってくれ。ええ待っています。きっとだな。きっとです。と誓いあった。おすげは二十歳、健次が二十四歳。そして夫婦約束をした晩、米屋は山津波でやられた。二人も押し流され、泥水の中ではなればなれになった。

「そのとき男が云ったんですって、生きていたらここで会おう、死んだと慥かにわかるまで、決してこころ変りはしないって」とはつは自分のことを話すような、感情のこもった口ぶりで云った、「――ええここで会いましょう、あたしも生きている限り待っていますって、おすげちゃんも云ったそうよ」

さわは眼をつむった。その二人の呼び交す声が、はっきり自分に聞えるようであった。似たようなことがあるものだ、国吉と自分も同じような約束をした。いつかきっと迎えに来る、ええ待っています、五年でも十年でも待っています。そういう約束をしたのだ。

「あの山津波で葉川村はきれいになくなっちまったでしょ、残っているのはあの榎だけ」とはつは続けた、「いまではこの柳原が合の宿になったから、おすげちゃんもしようがない、ここの柏屋へ住み込んだわけなの」