Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.073 caratteri · 223 schermate
「だって、一人で外へは出さないんでしょ」
「そう命じてはある」と六郎兵衛は自分で盃に酒を注いだ、「しかしあいつも人間だから、一歩も外へ出さないというわけにはいかない、それに野中の妻女が病身で、買い物なども不自由だというから、一人ででかける機会はあるんだ」
「そのときお久米さんと逢ってるっていうのね」
「たしかではない、ときどきでかけて、帰りのおそいことがあるというんだ」
「たしかだわ」おみやの声はうわずった、「あの人はまえから新さんにへんな眼つきをしていたもの、それに色好みで、旦那という人がごくたまにしか来ないから、きっと新さんをむりやりくどいたのよ」
「そうのぼせるな」と六郎兵衛が云った、「とにかく新八はまだ放せない、まだ当分は金蔓だからな、そこを考えてうまくやれ、のぼせあがると事を毀すぞ」
「材木河岸へ置くからいけないんだわ」とおみやが云った、「もうあの人たちは和泉町へ移ったんだもの、この道場へ置いて下さればいいのよ」
「それはだめだ、なにか頼めるのは野中ひとりだ、野中なら安心して預けられるが、ここに置いたらいつ逃げられるかわかったものではない」
「だって新さんにはゆくとこがないじゃありませんか」