Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.078 caratteri · 285 schermate

Aozora Bunko

おくみは昂奮のため、声をふるわせて云った、「お大名がたばかりではなく、市中の噂も、たいてい同じようだということです」

甲斐は黙っていた。

「これだけの噂が、御家中に聞えない筈はありません」とおくみはさらに云った、「もしこれを向うみずな若い方たちが聞いたら、黙って手を束ねてはいないでしょう、きっとまた、品川のお下屋敷のときのような」

甲斐は屹とおくみを見た、「品川の下屋敷、そんなことを誰に聞いた」

「伊東さまからうかがいました」

七十郎か、と甲斐は思った。新左衛門が危篤だというので、その病床をみまったとき、彼は下屋敷で刺客にあったことを七十郎に話した。そのじぶんはもう、七十郎は甲斐に絶交を宣告したあとで、殆んど往来は絶えていたし、七十郎ならそんなことを他言はすまいと信じたからであった。

「七十郎はここへ来たのか」

「お国へ帰るとき、ちょっとお寄りになったのです」

「おまえはなにも云わなかった」

「寄ったことは内証だと、伊東さまが仰しゃったからです」とおくみは云った、「そのとき伊東さまは、あなたがいまのような立場のままでいると、これからさきも決して安全ではない、いつ第二、第三の闇討ちをかけられるかわからない、よくよく気をつけるようにと、念を押していらっしゃいました」