Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.078 caratteri · 285 schermate

Aozora Bunko

はございませんか」

「それは、そのとおりだ」

「ではなぜ、そうして下さらないんですか」

「もういちど訊くが、おまえが心配しているのは私の死ぬことだろう」甲斐は穏やかに微笑しながら云った、「私が誰かに殺されはしないか、という心配で怯えている、たしかに、そのおそれがないとは云わないが、人間は女とひとつ寝をしていて死ぬこともあるんだよ」

「あなたはすぐそんなふうに」

「いや」と甲斐は静かに首を振った、「これは冗談や軽口ではない、現にあることを云っているんだ、人の死にようはさまざまだ、壮健な若者がはやり病で急死することもあり、おそれ多いが天皇の御子も将軍家の姫君も、天下の名医を集めながら平凡な病気で亡くなることがある、狂人の刃にかかる者もあるし、転んで頭を打っただけで死ぬ者もある、私はいちど闇討ちをかけられたが、けがもせずに助かった、もし私に寿命があるなら、幾たび闇討ちをかけられてもやすやすと死ぬことはあるまい、また、もし寿命の尽きるときが来たら、おくみの寝間で死ぬかもしれないだろう」

「あなたはそういう方よ」とおくみは眼がしらを押えながら、力のない声で云った、「御自分がそのように割り切っているから、女の気持なんか察して下さろうともしないのでしょう、あなたはそういう薄情な方なんです」