Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.078 caratteri · 285 schermate
「友達とは、女どもか」
「やまがの娘たちです、みんな殿さまが好きだし、殿さまもわたしたちを可愛がって下さいましたよ」
「ばかなもんだ」
「なにがですか」
「原田甲斐という男さ」と七十郎が云った、「船岡の館主であり、伊達家の国老ともある者が、猟小屋で山そだちの娘なんぞを可愛がるなんて、いや、あの男にはそういうところがある、昔からそういう妙な癖があった、彼は女には抵抗できない、女に誘惑されると拒むことのできない人間だ」
「お客さんは殿さまを御存じなんですか」
「おまえより古くからだ」
「へえ、お気の毒だこと」とふじこが云った。
「気の毒だって」
「お酒を持って来ます」
「待て、気の毒とはどういうことだ」
「お酒を持って来ますから」とふじこは立ちあがった。
七十郎は盃を置いて、汁椀を取った。干した茸の汁はもう冷えていて、ひなた臭いような味だけが舌に残り、七十郎は顔をしかめた。気の毒に、と彼は口の中で呟き、それから、両手をうしろに突いて、ぐたっと上躰を反らせた。
彼の顔つきは変っていた。額や頬のあたりが尖って、以前のような濶達さや、明るさが感じられない。席次の争いが、いかに彼を疲らせたかということがわかる。