Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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そり

橇

黒島 伝治

Leggi 橇 (そり) di 黒島 伝治 (くろしまでんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.663 caratteri · 24 schermate

Aozora Bunko

弾丸がシュッ、シュッ! と彼等が行くさきへ執念くつきまとって流れて来た。

「くたびれた。」

「休戦を申込む方法はないか。」

「そんなことをしてみろ、そのすきに皆殺しになるばかりだ!」

「逃げろ! 逃げろ!」

フョードル・リープスキーという爺さんは、二人の子供をつれて逃げていた。兄は十二だった。弟は九ツだった。弟は疲れて、防寒靴を雪に喰い取られないばかりに足を引きずっていた。親子は次第におくれた。

「パパ、おなかがすいた。……パン。」

「どうして、こんな小さいのを雪の中へつれて来るんだ。」あとから追いこして行く者がたずねた。

「誰あれも面倒を見てくれる者がないんだ。」

リープスキーは、悲しそうに顔を曲げた。

「家内は?」

「五年も前になくなったよ。家内の弟があったんだが、それも去年なくなった。――食うものがないのがいけないんだ!」

彼は袋の底をさぐって、黒パンを一と切れ息子に出してやった。

弟は、小さい手袋に這入った自由のきかない手で、それを受取ろうとした。と、その時、リープスキーは、何か呻いて、パンを持ったまま雪の上に倒れてしまった。

「パパ」

「やられたんだ!」

傍を逃げて行く者が云った。