Classici giapponesi con furigana
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そり
橇
黒島 伝治
Leggi 橇 (そり) di 黒島 伝治 (くろしまでんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.663 caratteri · 24 schermate
「パパ」
十二歳の兄は、がっしりした、百姓上りらしい父親の頸を持って起き上らそうとした。
「パパ」
また弾丸がとんできた。
弟にあたった。血が白い雪の上にあふれた。
六
間もなく、父子が倒れているところへ日本の兵隊がやって来た。
「どこまで追っかけろって云うんだ。」
「腹がへった。」
「おい、休もうじゃないか。」
彼等も戦争にはあきていた。勝ったところで自分達には何にもならないことだ。それに戦争は、体力と精神力とを急行列車のように消耗させる。
胸が悪い木村は、咳をし、息を切らしながら、銃を引きずってあとからついて来た。
表面だけ固っている雪が、人の重みでくずれ、靴がずしずしめりこんだ。足をかわすたびに、雪に靴を取られそうだった。
「あ――あ、くたびれた。」
木村は血のまじった痰を咯いた。
「君はもう引っかえしたらどうだ。」
「くたびれて動けないくらいだ。」
「橇で引っかえせよ。」吉原が云った。
「そうする方がいい。――病人まで人殺しに使うって法があるか!」
傍から二三の声が同時に云った。
「おや、これは、俺が殺したんかもしれないぞ。」浅田は倒れているリープスキーを見て胸をぎょっとさせた。