Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 178.724 caratteri · 355 schermate
恐らくそうではなかったろう。諸君はもっと自由にめいめいの意見を述べたにちがいないのだ。そうだとすると、僕があの願書を血で書いたということは、諸君の自由な意見を封じ、諸君の血判までを強要したということになるのだ。その証拠がきょうこの会議にはっきりあらわれている。その意味で、僕の血書はやはりストライキと同様、一種の脅迫だったのだ。脅迫によって結ばれた約束が破れるのは当然だ。そしてその結果が、たった今馬田と新賀との間に行われたような、脅迫と脅迫との競合いになるのも当然だ。僕は、諸君に、僕の無自覚によって、すべてのそうした原因を作ったことを心からあやまる。」
静まりきった、しかし底深く動揺する海のような空気が全体を支配した。みんなの表情はまちまちだった。しかしそれは、おどろきと、あやしみと、好奇と、そしてえたいの知れない感激との、いろいろの割合における混合以外の何ものでもなかった。
その時まで、額を両手でささえ眼をつぶったままじっと動かないでいた新賀も、いつのまにか首をさしのべ、眉根をよせて、うかがうように次郎を見つめていた。梅本は両腕を組み、のけぞり気味に首をまっすぐに立てて次郎を見ていたが、その眼は怒った人の眼のように鋭く光っていた。