Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 117.781 caratteri · 235 schermate
小さい小僧さんの方がよっぽど物わかりがいいわ。じゃあ、あんた、すぐお酒を量って下さいね。」
と、いかにもおだてるように言って、腰を浮かした。
「お内儀さん――」
と、仙吉は、妙に沈んだ声で、
「それは小僧じゃないんです。こちらの坊ちゃんで、何もご存じないんですがね。」
「坊ちゃん?」
と、女はちょっといぶかるような顔をしたが、
「坊ちゃんなら、なおいいじゃありませんか。旦那に代って、ああ言って下さるんだから。」
「ところが、実はね。お内儀さん――」
と仙吉は、いよいよ沈んだ調子で、
「差上げようにも、上洒の方は一斗なんてはいっちゃいませんがね。」
女は、ぎろりと眼を光らして、売場の甕から、土間につんだ四斗樽までを一巡見まわした。そして、
「空なんですね、あれは。」
と、四斗樽の方にあごをしゃくった。
「実は、そうなんで。」
女は、立っていって樽をたたいてみるまでのことはしなかった。さればといって、べつに同情するようなふうもなく、何かしばらく考えていたが、
「上酒が足りなきゃあ、足りない分は悪い方で我慢しますよ。とにかく、今日は、さっぱりしてもらおうじゃありませんか。