Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.443 caratteri · 398 schermate
やがて先生は言葉をついだ。
「私はけさ、君らの中のだれかが打った板木の音を聞きながら、ふと、この話を思い出したが、それはおそらく、けさの板木が、ここの生活にふさわしい心をもって打たれていたからだと思う。君らの耳にあの音がどう響いたかは知らない。しかし、私は、あの音から、この塾はじまって以来のゆたかな感じをうけたのだ。じっくりと落ちついて、すこしも軽はずみなところのない、また、すこしも力んだところのない、おだやかな、そして辛抱づよい努力、――心の底に深い愛情をたたえた人だけに期待しうるような努力を、私はあの音から感じとり、これこそここの生活を象徴する響きだと思ったのである。――私は、しかし、奕堂和尚のように、だれが、どんな気持ちで、今朝の板木を打ったかを、しいて知りたいとは思わない。それは、もともとここの生活では、だれがどんな働きをして、どんな名誉を担うかということは、あまりたいせつなことではないからだ。ここの生活でたいせつなのは、名でなくて実である。心である。その心がむだにならないで、共同生活全体の中に生かされていけば、個々の人の名などは、しいて問題にする必要はない。