Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.443 caratteri · 398 schermate

Aozora Bunko

かれは、田沼先生のそばにすわっているだけで、自分の血がその愛によってあたためられ、自分の頭がその識見によって磨かれて行くような気がするのであった。

朝倉先生の開塾式における言葉もまた、次郎にとって新しい感激の種だった。先生は、人間が本来もっている創造の欲望と調和の欲望とを塾生相互の間にまもり育てつつ、何の規則もなく、だれの命令もなしに、めいめいの内部からの力によって共同の組織を生み出し、生活の実体を築きあげて行きたい、といった意味のことを述べた。そうした共同生活の根本精神は、次郎がこれまで白鳥会においておぼろげながら理解していたことではあったが、まだはっきりした観念にはなっていなかったので、非常に新鮮なひびきをもってかれの耳をうつたのである。

塾生活の運営は、しかし、実際にあたってみると、朝倉先生の理想どおりに進展するものではなかった。次郎は、期間の半ばを過ぎるまで、先生の顔にも、しばしば苦悩の色が浮かぶのを見てとって、自分も心を暗くすることがあった。しかし、期間の終りが近づくにしたがって、だれの顔にも次第に明るさが見えて来た。

「塾生の言動に、このごろ、やっとうらおもてがなくなって来たようだね。