Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.443 caratteri · 398 schermate
「私、塾長の朝倉です。はじめてお目にかかりますが、よくおいでくださいました。さあどうぞ。」
それはいかにも背広の男を荒田という人だと思いこんでいるかのような口ぶりだった。
「はあ、では……」
と、背広の男は、いくらかあわてたらしく、さっきとはまるでちがった、せかせかした足どりで自動車のほうにもどって行った。そして、
「田沼さんはまだお見えになっていないそうですが、さしつかえないそうです。」
と、まえと同じように、片手を自動車の中にさしのべた。
「どうれ。」
うなるようにいって、背広の人に手をひかれながら、自動車からあらわれたのは、縫い紋の羽織にセルの袴といういでたちの、でっぷり肥った、背丈も人並以上の老人だった。黒眼鏡をかけているので、眼の様子はわからなかったが、顔じゅうが、散弾でもぶちこまれたあとのようにでこぼこしていて、いかにもすごい感じのする容貌だった。
二人が近づくのを待って、朝倉先生があらためて言った。
「あなたが荒田さんでいらっしゃいますか。私は塾長の朝倉です。今日はよくおいでくださいました。さあ、どうぞこちらへ。」
「塾長さんですか。荒田です。