Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.443 caratteri · 398 schermate

Aozora Bunko

「先生は、これからは、全国行脚だそうじゃありませんか。いいですね。ぼく、もしお許しが出たら、ついて行きたいと思ってるんです。」

次郎は、しびれた頭のどこかに急に電気でもかけられたような刺激を覚え、眼を見はった。

「本田さんも、むろん、ついて行くんでしょう。」

「ぼく、まだ、そんなこと何も……」

「二人でついて行きましょう。友愛塾の運動は、こんな建物の中でやるより、そのほうがほんとうですよ。ぼく、今度講習をうけてみて、つくづくそう思いました。むろん、それもはじめからじゃ無理かもしれませんが、修了生が五百も全国に散らばっておれば、やり方次第では相当なことができますよ。一回に五十人やそこいらをここに集めてやってるよりか、運動としては、よっぽどそのほうが効果的だと思いますね。」

次郎は、朝倉先生と三人で、リュックをかついで全国を行脚してあるく姿を心に描いて、何か楽しい気がしないでもなかった。しかし、かれの眼は、建ってまだ三年とはたたない本館や、空林庵を、無念そうに見まわしていた。かれの胸には、幼いころ、自分の通っていた村の小学校が新築され、それがかれと乳母のお浜を引きはなす原因になり、お浜と二人で最後に旧校舎の屋根を見あげたときの、あの言いようのない寂しい気持ちが、しみじみとわいていたのだった。