Classici giapponesi con furigana
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ぶけわらじ
武家草鞋
山本 周五郎
Leggi 武家草鞋 (ぶけわらじ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.835 caratteri · 35 schermate
「それはなお結構でございます、本当にそのおつもりなら、わたくしからすぐ問屋のほうへ話してみましょう」
老人はすぐに二俣の問屋へでかけてゆき、必要な道具や材料を借りだして来て呉れた。いねはどう思ったものか、嬉しそうな浮き浮きした調子で、「お祖父さまの蝋燭と宗方さまの草鞋がたくさん出来るのでしたら、わたくしが茶店を出して売ることに致しましょう……」などと云って笑い、それまでとは違った明るさと、活き活きした挙措が眼だってきた。
伝三郎の気持も少しずつ変っていった。山村に身をおちつけて、児女を教え蝋燭を作り、拾ったいねを養育しながら、名利を棄ててつつましく生きる老人、今は侘しいほども枯れたその風格のかげには、おそらく人に語れない多くの悔恨や、忿怒や、哀傷の癒しがたい創があることだろう。……またいねは五歳という幼弱で孤児になった、老人のなさけ深い手に養われたとはいえ、ながい年月にはずいぶん辛い悲しいことがあったに違いない、しかもこのように明るく心ゆたかに成長してきた。――人はみなそれぞれ苦しい過去をもっている、それが伝三郎にかなり強い感動を与えた、いねの身の上を聞いたときの慚愧はそれだった、「この娘でさえこんな艱難のなかに生い立っている」