Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
しのよこく
死の予告
野村 胡堂
Leggi 死の予告 (しのよこく) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.149 caratteri · 34 schermate
「それはあり得ません」
「その婦人の身寄とか親類とか言う者は?」
「それもありません。近頃は身許の確かなものでないと決して採らないことにしてありますから」
「兎も角、書斎を一応拝見さして頂き度い」
「どうぞ」
伯爵に案内されて書斎へ行って見ましたが、成程小さい部屋で、これが伯爵の書斎かと驚くほどですが、神経質な人には稀に小さい書斎を好む人がありますから、伯爵自身の好みと言えばこれも已むを得ませんが、調度はなかなか贅沢で、その辺に置かれた小物には、こんな家でなければ見られない高価なものが沢山あります。
「こんな品は一つも紛失しませんでしょうな」
「無くなったものはありません」
「現金は」
「現金はこの書斎へは置かないのです」
急所急所を斯う問い乍ら、「足の勇」の眼と手は、忙しく活動します。
「書生さんは、手紙を左の手に持って死んで居たと言いましたね」
「そうです。たしかに左でした」
「左利きでは無かったのですか」
「いや、そんな事はありません。左利きの書生は、先刻テニスをやって居た小村という方で、死んだ大川は、平常小村の左利きを冷かして居ました」
「可怪しいぞ」
「足の勇」は、眼を半眼に何処ともなく、凝っと見詰め乍ら、斯うつぶやきます。