Classici giapponesi con furigana
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ししゃのけんり
死者の権利
浜尾 四郎
Leggi 死者の権利 (ししゃのけんり) di 浜尾 四郎 (はまおしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.854 caratteri · 61 schermate
九
仮令、如何なる理由があるとも、仮令、人一人の生命を救うがためであろうとも(しかもその人間は不正な人間であります)純潔なる少女を妖魔の如くに罵り、貞淑なる女を魔女の如くに侮辱し、しかも判決を以て天下にこれを公表するに至っては、どこに法律の善き所、正しき所が見い出されるのです? どこで法律は正義を代表しようとするのですか?
罪ある者を誤って不当に重く罰する事は、天国に在るべき可憐な少女の魂を、地獄に陥すより遙に罪軽かるべきです。
いわんや罪重かるべき罪人を不当に軽く処罰せんがために、清浄純潔なる少女の魂を地獄に有りと偽るに至っては、その罪正に殺人以上といわねばなりません。
あなたはかかる事は有り得ぬといわれるでしょう。私ははっきり申します。かくの如き不幸な事件を私はよく知っております。私はこの目で見、この耳でききました。
九
最早、私が何者であるかはお判りのことと思います。私はかつてあなたが検事在職当時取り扱われた被告人須山春一のために、薄命な若い一生を終った秋田小夜子の実の兄、秋田清吉というものです。
私は自分の恥多き今までの経歴のため、親に見離されてはいますけれども、ただ妹に対する愛だけはもっているのです。