Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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せっしょうだにのおにび

殺生谷の鬼火

山本 周五郎

Leggi 殺生谷の鬼火 (せっしょうだにのおにび) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9545 caratteri · 19 schermate

Aozora Bunko

「助けて――えッ怖いッ」

馬車の中から聞える悲鳴は正に千代子の声だ。

「うぬ、鬼火め!」

敦夫は手綱を絞って馬を停めると、舞狂っている鬼火を狙って続けざまに射った。

だーん、だーん、だーん。

銃声は柏の林に木魂した、そしてぎゃぎゃぎゃん※(感嘆符二つ、1-8-75) という、慄然とするような咆哮が聞えたと見る間に、今まで恐ろしい早さで廻っていた鬼火が、ぴたりと地上へ動かなくなった。――敦夫は更にそれを狙って三発、充分に射止めて置いて馬車へ乗着けた。

馬車の中には千代子が、殆ど半分気を失っていたが、敦夫が近寄って、

「チイ公、もう大丈夫だぞ」

と呼びかけるや、

「まあお兄さまッ」

と叫びながら、狂ったように兄の体へとびついて来た。

「怖い、鬼火が、鬼火が……」

「大丈夫だよ、鬼火はもう僕が片付けたよ、母さんも無事だったんだ、もう何も心配することはないよ」

「ええ※(感嘆符疑問符、1-8-78) 母さんが生きて――?」

「そうなんだ、何も彼も直ぐ片がつくよ、――御覧。おまえの怖がっていた鬼火はそこに転がっているよ」

敦夫の指示した処を見ると、一頭の巨きな、犬のような獣が死んでいた。