Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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せっしょうだにのおにび

殺生谷の鬼火

山本 周五郎

Leggi 殺生谷の鬼火 (せっしょうだにのおにび) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9545 caratteri · 19 schermate

Aozora Bunko

「まあ、なんですの是?」

「狼を馴らした奴さ」

「だって毛が青白く光っているのは?」

「夜光剤だ、闇の中で燐光を発する薬剤が塗ってあるんだよ、恐怖に眼の眩んでいる者には是が鬼火に見えたんだよ」

そう云って敦夫は愉快そうに笑った。

明る朝。昨日の雨にひきかえて、すっきりと晴れあがった空を見ながら、洋館のベランダで敦夫と千代子が話していた。

「――秘密を解く鍵を与えて呉れたのは、あの呪いの記録を書いた紙なんだ。あの紙は如何にも古びているが、透かして見ると漉込みの字があった。それがなんと、土佐西原『昭和堂』と云う字じゃないか、つまり、昭和になって漉いた紙なんだ。――だから源治叔父さんが土蔵の中から古く伝わっていたのを捜出したというのは嘘で、実は最近拵えて古いように手入れをしたのさ」

「どうしてそんな事をしたの?」

「伝説を信じさせるためと、自分の犯罪をカムフラアジするためだ。七十年め毎に呪が復活すると云う記録があれば、自分は疑われずに済むからな、――何故そんな事を企んだかって? まだ君には分らないのか。一言で云えば椙原家の財産が欲しかったからさ、我々を全部やっつけて、椙原家を自分の物にする積だったんだ。