Classici giapponesi con furigana
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ははおや
母親
若杉 鳥子
Leggi 母親 (ははおや) di 若杉 鳥子 (わかすぎとりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7750 caratteri · 16 schermate
「それで、あれは元気でしたろうか?」
「さ……うちのが、みをちゃん――と呼んだら、急いで行ってしまったっていってましたですよ。」
折角きいた話は、あっけない話だった。しかしみを子が無事でいることだけは、彼女にとって、唯一つの大きい希望だった。
息子はこの二三年、病気で欠勤がちだった。しかし家にいる時でも、技術がすたるといって仕事をしていた。
紙幣(さつ)の裏表を占めている、息づまる程交錯した、毛よりも細い線――それを見つめていると、母親は肌寒いものが背筋を走るのだった。複雑をきわめた線と線との間に、息子の命が日々に少しずつ磨滅してゆくのを、眼の前に見せられる気がした。
「お母さん――俺は永いこと苦労をかけたナ。」
ある時、彼は床の上に半身を起こして、自分の手や足を眺めていった。
「俺が死んだら、お母さんはどうする?」
「どうするって、癒ってくれなくちゃ困るじゃないか。」
「どんなことしても、みを子を捜し出さなくちゃいけないよ。ほら、この前、みを子が警察にいたのを知らしてくれた人、あの人に会ってきいてみたら解る。あの人の手紙、ちゃんと、とってあるだろうね?」