Classici giapponesi con furigana
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ひとうとうこうき
比島投降記
石川 欣一
Leggi 比島投降記 (ひとうとうこうき) di 石川 欣一 (いしかわきんいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 68.333 caratteri · 134 schermate
やがて飛行機が二、三哩向うとも思われる地点に着陸すると、ハッピイはほっとしたように僕のコットに腰をおろし、何と思ってか「自分は物心がついてから、ただの一度も教会へ行かなかったということがない。戦争が始まってからは教会へ行くことも自然不規則になったが、今朝は――その日は丁度日曜だった――アパリのメソディスト教会へ行って来た」と話した。アメリカの兵隊で、宗教の話をしたのは、ハッピイだけである。
間もなく僕はコットに横になって眠った。この寝入ばなを起しに来たのがハッピイである。日本の捕虜が柵に登っているのを見つけて制止したが、何の為にそんなことをしたのか聞いてくれというのである。病院の周囲は高さ二間ぐらいの柱に有刺鉄線を張り渡したものでかこんである。この柵に登ったとは厄介なことが起ったものだと思いながら、靴をはいて柵に一番近いテントに出向いた。患者約二十人と衛生兵一人とが、それぞれのテントにいる。「誰かこの中で柵に登った人がいるそうだが……」というと、「自分です」と出て来たのが衛生兵である。何故そんなことをしたのかと聞くと、さっき飛行機が不時着したが自分のいた所からはよく見えなかった。