Classici giapponesi con furigana
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ひとうとうこうき
比島投降記
石川 欣一
Leggi 比島投降記 (ひとうとうこうき) di 石川 欣一 (いしかわきんいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 68.333 caratteri · 134 schermate
一枚とだけは、いわば肌身を離さず、持って帰った。)
その日の午後、一同は上陸したが、僕はそれから二週間ばかりも、この船にとどまった。ある時、副長のB中尉にASの話をすると、「あれも気の毒なことに、家庭にトラブルが起って、ひとつはそれで、早く帰国することになったのだ」といった。子供が二人もいるのに、留守中に細君が家出をしたというのだ。まんざらお世辞ではなく、僕は彼が早く帰国出来ることをよろこぶ、といったのだが、そのホームも、どんなことになっているのか、ASにはよろこばしさよりも、心痛の方が強かったであろう。B中尉は、さらに、ASが非常によく働く男で、海軍でも類がない位であること、酒をのむと手に負えぬ程のトラにはなるが、どんなに酔っていても、自分のいうことだけには必ず服従する、という話をした。ASが酔っぱらうのも、あるいは、家庭生活の心配が、原因になっていたのかも知れない。どんな理由で細君が家出したのか知る由もないが、僕は、戦争が終り、ASが帰国したのを機会に、細君も元の枝に帰って、あたたかい家庭生活の再出発を開始するようになったら、どんなにいいだろうかと、心から希望している。