Classici giapponesi con furigana
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えいじつしょうひん
永日小品
Leggi 永日小品 (えいじつしょうひん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 50.000 caratteri · 100 schermate
K君はたしか慶応二年か元年生れだと覚えている。自分はもう一年の事で、K君と共に枢機に参する権利を失うところであった。
こんな面白い話をしている間に、時々下の家族が噂に上る事があった。するとK君はいつでも眉をひそめて、首を振っていた。アグニスと云う小さい女が一番可愛想だと云っていた。アグニスは朝になると石炭をK君の部屋に持って来る。昼過には茶とバタと麺麭を持って来る。だまって持って来て、だまって置いて帰る。いつ見ても蒼褪めた顔をして、大きな潤のある眼でちょっと挨拶をするだけである。影のようにあらわれては影のように下りて行く。かつて足音のした試しがない。
ある時自分は、不愉快だから、この家を出ようと思うとK君に告げた。K君は賛成して、自分はこうして調査のため方々飛び歩いている身体だから、構わないが、君などは、もっとコンフォタブルな所へ落ち着いて勉強したらよかろうと云う注意をした。その時K君は地中海の向側へ渡るんだと云って、しきりに旅装をととのえていた。
自分が下宿を出るとき、老令嬢は切に思いとまるようにと頼んだ。下宿料は負ける、K君のいない間は、あの部屋を使っても構わないとまで云ったが、自分はとうとう南の方へ移ってしまった。