Classici giapponesi con furigana
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えいじつしょうひん
永日小品
Leggi 永日小品 (えいじつしょうひん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 50.000 caratteri · 100 schermate
四五軒の道具屋を持って廻ったら、落款がないとか、画が剥げているとか云って、老人の予期したほどの尊敬を、懸物に払うものがなかったのだそうである。
倅は道具屋は廃しになさいと云った。老人も道具屋はいかんと云った。二週間ほどしてから、老人はまた桐の箱を抱えて出た。そうして倅の課長さんの友達の所へ、紹介を得て見せに行った。その時も鉄砲玉を買って来なかった。倅が帰るや否や、あんな眼の明かない男にどうして譲れるものか、あすこにあるものは、みんな贋物だ、とさも倅の不徳義のように云った。倅は苦笑していた。
二月の初旬に偶然旨い伝手ができて、老人はこの幅を去る好事家に売った。老人は直に谷中へ行って、亡妻のために立派な石碑を誂えた。そうしてその余りを郵便貯金にした。それから五日ほど立って、常のごとく散歩に出たが、いつもよりは二時間ほど後れて帰って来た。その時両手に大きな鉄砲玉の袋を二つ抱えていた。売り払った懸物が気にかかるから、もう一遍見せて貰いに行ったら、四畳半の茶座敷にひっそりと懸かっていて、その前には透き徹るような臘梅が活けてあったのだそうだ。老人はそこで御茶の御馳走になったのだという。