Classici giapponesi con furigana
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えいじつしょうひん
永日小品
Leggi 永日小品 (えいじつしょうひん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 50.000 caratteri · 100 schermate
古い鼓を天秤棒に括りつけて、竹のへらでかんかんと敲くのだが、その音は頭の中でふと思い出した記憶のように、鋭いくせに、どこか気が抜けている。爺さんが筋向の医者の門の傍へ来て、例の冴え損なった春の鼓をかんと打つと、頭の上に真白に咲いた梅の中から、一羽の小鳥が飛び出した。歯入は気がつかずに、青い竹垣をなぞえに向の方へ廻り込んで見えなくなった。鳥は一摶に手摺の下まで飛んで来た。しばらくは柘榴の細枝に留っていたが、落ちつかぬと見えて、二三度身ぶりを易える拍子に、ふと欄干に倚りかかっている自分の方を見上げるや否や、ぱっと立った。枝の上が煙るごとくに動いたと思ったら、小鳥はもう奇麗な足で手摺の桟を踏まえている。
まだ見た事のない鳥だから、名前を知ろうはずはないが、その色合が著るしく自分の心を動かした。鶯に似て少し渋味の勝った翼に、胸は燻んだ、煉瓦の色に似て、吹けば飛びそうに、ふわついている。その辺には柔かな波を時々打たして、じっとおとなしくしている。怖すのは罪だと思って、自分もしばらく、手摺に倚ったまま、指一本も動かさずに辛抱していたが、存外鳥の方は平気なようなので、やがて思い切って、そっと身を後へ引いた。