Classici giapponesi con furigana
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ぬまふじん
沼夫人
泉 鏡花
Leggi 沼夫人 (ぬまふじん) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 39.541 caratteri · 78 schermate
枕を擡げて、
「唯今!」
威勢よく、(開けます)とやろうとする、その扉の見当が附かぬから、臥床に片手支いたなり、熟と室の内をしながら、耳を傾けると、それ切り物の気勢がせぬ。
「はてな、」
自分で、奥さん、と言ったのに、驚いて覚めたには覚めたが、誰に呼ばれたのか、よくは分らぬ。もっとも、小松原とも立二とも、我が姓、我が名を呼ばれたのでもなければ、聞馴れた声で、貴郎、と言われた次第でもない。
とは言え、呼んだのは確に婦で……しかも目のぱっちりした――
「待て、待て、」
当人寝惚けている癖に、他の目色の穿鑿どころか。けれども、その……ぱっちりと瞳の清しい、色の白い、髪の濃い、で、何に結ったか前髪のふっくりとある、俯向き加減の、就中、歴然と目に残るのは、すっと鼻筋の通った……
ここまで来ると、この家の細君の顔ではない。それはもっと愛嬌があって、これはそれよりも品が優る。
勿論、女中などに似ようはないと、夢か、現か、朦朧と認めた顔の容が、どうやらこう、目前に、やっぱりその俯向き加減に、ちらつく。従って、今声を出した、奥さんは誰だか知れるか。
それに、夢中で感覚した意味は、誰か知らず、その女性が、