Classici giapponesi con furigana
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ぬまふじん
沼夫人
泉 鏡花
Leggi 沼夫人 (ぬまふじん) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 39.541 caratteri · 78 schermate
このあたり……どこかで何の鳥か一つ鳴出した。何、正体を見れば、閑古鳥にしろ、直そこいらの樹の枝か葉隠れに、翼を掻込んだのが、けろりとした目で、閑に任かして、退屈まぎれに独言を言っているのであろうけれども、心あって聞く者が、その境に臨むと、山から谷、穴の中の蟻までが耳を澄ます、微妙な天楽であるごとく、喨々として調べ奏でる。
……きょ、きょら、くらら、くららっ!
と転がして、発奮みかかって、ちょいと留めて、一つ撓めておいて、ゆらりと振って放す時、得も言われず銀鈴が谺に響く。
小松原は、魂を取って扱かれるほど、ひしひしと身に堪え、
「……京から、今日ら……来るか、来るか!」
と言われるようで、
「来ました、東京から今日来ましたよ。」
と胸の裡で言った。
その蒼沼は……
小高い丘に、谷から築き上げた位置になって、対岸へ山の青簾、青葉若葉の緑の中に、この細路を通した処に、冷い風が面を打って、爪先寒う湛えたのである。
水の面は秋の空、汀に蘆の根が透く辺りは、薄濁りに濁って、二葉三葉折れながら葉ばかりの菖蒲の伸びた蔭は、どんよりと白い。木の葉も、ぱらぱらと散り浮いて、ぬらぬらと蓴菜の蔓が、水筋を這い廻る――空は、と見ると、覆かかるほどの樹立はないが、峰が、三方から寄合うて、遠方は遠方なりに遮って、池の周囲と同じ程より、