Classici giapponesi con furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Leggi 渡良瀬川 (わたらせがわ) di 大鹿 卓 (おおしかたく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 280.528 caratteri · 557 schermate
ポツリと正造が声をもらした。
「二十人、或はもっとかも知れません。なにしろ、追い散らされて二三里の間にわたっていますから、誰が怪我して倒れているやらわかりません。おそらく死人もあったにちがいありません」
正造はまた目を閑じて、なにか胸苦しげに呻りつづけていたが、「二月十三日……二月十三日」と独り言のように呟きだした。やがてその声が大きくなって、
「二月十三日、なんという悪日だ。二月十三日が百回来ても、二百回来ても、鉱毒は止まない。人殺しは止まないゾ!」
破れ鐘のような声だった。人々はびっくりして正造の顔を見つめ、それから不安げに互の瞳を見交した。だが、正造はまた深い溜息を洩らすと、そのまま眠るように静かになった。人々もまた押し黙ってそれぞれの感慨に耽りだした。
なおその夜のうちに、三四名の者が上京して情報を齎したが、例えば負傷者の数などにしても、百人といい三百人といって、各人の見聞が部分的である上に、想像が加わるからまちまちであった。死人の有無も判然としなかった。
「古河の番頭が警官の服を着て交っていたそうです。確かにそれと思われる顔を見たという者があります。