Classici giapponesi con furigana
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おんしつのこい
温室の恋
国枝 史郎
Leggi 温室の恋 (おんしつのこい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.010 caratteri · 22 schermate
何んだか私は恍惚として、彼女の胸の上へ後脳を当て何時迄も黙って居りました。
すると、優しい歔欷の声が、聞えて来たではありませんか。そうして私の額の上へ熱い滴が落ちて来ました。彼女が泣いているのでした。
不意の発作とでも云うのでしょう。彼女は私を砕ける程固く劇しく抱き締めましたが、譫言のような取り止めの無い声で斯う云いつづけるではありませんか。
「死にましょう死にましょう死にましょうよ……私殺されるかも知れないのよ! 殺したければ殺すがいいわ! 殺されたって別れはしない! 殺される事が恐ろしくて何うして此様恋が出来るものか! ……貴郎、貴郎、ねえ善也さん! 私どうしたって別れなくってよ! 何んて貴郎は美しいんでしょう! そうして貴郎の美しさは厭らしい美しさではありませんわ! 天使のような美しさよ! 私は貴郎と逢ってから、貴郎の美しさを知ってから、心がまるっきり変わりましたのよ。そうして私の此心変りがあの男には恐ろしいのです。それで、私を、嚇迫して貴郎から遠避けようとするのです! けれど私は何んな事があっても決して貴郎とは別れやしません! 貴郎と別れるくらいなら私は彼奴等と縁を切って、貴郎を連れて何処へでも行って、それこそ世界の涯へでも行って、二人っきりで暮らしますわ! 私は貴郎の美しさに依って穢れている過去