Classici giapponesi con furigana
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おんしつのこい
温室の恋
国枝 史郎
Leggi 温室の恋 (おんしつのこい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.010 caratteri · 22 schermate
六
の私の心を浄めようと為ているんじゃありませんか! でも左様したら彼奴等は私を生かしては置きますまい。私ばかりか貴郎をさえ殺すに違いありませんわ。それでは貴郎がお気の毒ね。気の毒と云えば酒井さんも本当にお気の毒でございますわ。あの方はお金があるために悪者達に狙われているし、貴郎はあんまり美しい為に私のような悪い女に魅込まれたではありませんか――おや、畜生! また彼奴が、彼方から私達を見張っている!」
本当に、温室の戸口の陰に、季参が佇んで居りました。
何んという凶悪の顔だったでしょう!
彼女は復も私を抱き締めヒステリカルな声を上げて、のべつに此様事を喋舌りながら、額と云わず頸と云わず接吻の雨を降らすのでした。
「見せ付けてやりましょう、構う事は無い! そうして本当に私達も行く所まで行きましょう! 歓楽の澱まで飲み干しましょう! 私達の生命は短いものですものね!」
そうして、真実、私と彼女は、其日初めて温室の中で諸々の花に囲繞されながら恋の甘酒の最後の澱まで飲み干して了ったのでございます……。
六
結城善也の物語は尚長く続いたのではあったけれど、要するに夫れは料理人の季参に対する反感と取越し苦労とに過ぎなかった。