Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おんしつのこい

温室の恋

国枝 史郎

Leggi 温室の恋 (おんしつのこい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.010 caratteri · 22 schermate

Aozora Bunko

調査の結果、床下の土地に、一筋の坑道が掘られてあって、それが意外にも園原家の温室へ通じているということが世間へ発表された時、人達はあっと云って驚いたが、その園原家の温室の中、虹のように美しい無数の花に、すっかり周囲を取り巻かれ二人の美しい若い男女が縋り合ったまま死んでいるという、そういう事実を聞かされた時には、町の人達より此私が何んなに肝を潰したか!

「それではあの時のあの話は、みんな本当であったのか」

思わずこんなように呟いたが、後の祭で何んの役にも立たない。

私は無限の感慨に打たれ、良心をさえ苦しめたが、せめて約束でも果そうと、結城善也氏の厳父に宛てて長い手紙を書き出した。

その手紙の中へこんな意味のことを、私は記したように記憶えている。

「……(前略)……あなたのご子息善也様は立派なお方でございました。その立派さが不逞の女――園原雪枝と申す女は、支那人季参の妾でもあり悪事の相棒でもあったそうですが――その悪漢の女の心をさえ感化させたほどでございます。そして女のその変心は真の悪漢季参に取っては大きな傷手だったのでございます。それで季参は二人の者を無きものにしようと決心し温室の中の幾個かの花へ強い毒薬を塗ったのだそうです……酒井家を襲った盗賊も勿論季参でございました。