Classici giapponesi con furigana
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おんせんだより
温泉だより
Leggi 温泉だより (おんせんだより) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6095 caratteri · 13 schermate
そのまた自殺も首を縊ったとか、喉を突いたとか言うのではありません。「か」の字川の瀬の中に板囲いをした、「独鈷の湯」と言う共同風呂がある、その温泉の石槽の中にまる一晩沈んでいた揚句、心臓痲痺を起して死んだのです。やはり「ふ」の字軒の主人の話によれば、隣の煙草屋の上さんが一人、当夜かれこれ十二時頃に共同風呂へはいりに行きました。この煙草屋の上さんは血の道か何かだったものですから、宵のうちにもそこへ来ていたのです。半之丞はその時も温泉の中に大きな体を沈めていました。が、今もまだはいっている、これにはふだんまっ昼間でも湯巻一つになったまま、川の中の石伝いに風呂へ這って来る女丈夫もさすがに驚いたと言うことです。のみならず半之丞は上さんの言葉にうんだともつぶれたとも返事をしない、ただ薄暗い湯気の中にまっ赤になった顔だけ露わしている、それも瞬き一つせずにじっと屋根裏の電燈を眺めていたと言うのですから、無気味だったのに違いありません。上さんはそのために長湯も出来ず、々風呂を出てしまったそうです。
共同風呂のまん中には「独鈷の湯」の名前を生じた、大きい石の独鈷があります。