Classici giapponesi con furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Leggi 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 132.395 caratteri · 263 schermate
法水が帰ってからも、一座はそのままの沈黙を続けていた。
霜刻に近い夜ふけの楽屋の中は、いたって火の気も乏しく、外の凍りが室内にも及んで、幟のはためきに、歯の音も合わぬほどの寒さだった。
そのうち山村儀右衛門が、例の神経的な、蒼白いしゃくれ顔を突き出して、
「ところで爺つぁん、春にはなんとかして当てようと思うんだがね。いっそ、慣例を打ち破って、四谷をやってみたら、どんなものだろう。伊右衛門はわっし、お岩は逢痴と、配役はざっとこんなもんでさあ」
と云って、彼はかたわらの逢痴と顔を見合せるのだった。
逢痴は、一座中の若女形だった。寒さにもめげず、衣紋を抜き出して、綺麗な襟足を隠そうともしない。
この逢痴には、はじめ二つの世界があった。
一つは、楽屋における男性であり、一つは、舞台における女性であったが、やがて自働的な聯想を起したのであろうか、今ではもう、感情挙動言葉服装とも、女性のそれと異ならないものになってしまった。
まったく着物のままざんぷりと水に漬けて、どこからどこまで透き徹してしまっても、たぶん彼には、女性以外の特徴が見出されないに相違ない。そうして、古風な芝居言葉だが、お内儀様と云われるのを喜んだり、箸の持ち運び、食事の仕様までもそのままなのを見ると、それが山下久米八と、いかに際立った対照をなしている