Classici giapponesi con furigana
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しおかぜ
潮風
豊島 与志雄
Leggi 潮風 (しおかぜ) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.018 caratteri · 25 schermate
その眼がいつもより睫毛の影が多く、奥深く黒ずんで、そしてちらちら笑ってるらしいのを、片野さんはちょっと眼にとめて、そしてすぐそっぽを向いてしまった。佐代子は用もきかないで引込んでいった。美智子がやって来て、小座敷の方へ片野さんを案内した。
それだけのことだったが、何かしらいつもと調子がちがってるのが目立った。そして片野さんは小座敷の隅に蹲って、ちょっとした料理で酒をのみだしたが、何事にも興味がなさそうだった。芳枝さんがちょっと顔を出して、よそよそしい挨拶をしてから、待ってて下さいと囁いた。ええというなげやりな返事だった。銚子をはこんでくる美智子にも殆んど話しかけなかった。何か思い惑ってたに違いない。恐らく先夜のことででもだったろうか。だから俺は、そっと寄っていって、その頭の中のものをかきたててやろうとした。あまり思い惑ってるようなので、助けてやるつもりだった。
――先夜、佐代子をつかまえて、随分つまらないことをしたものですね。
――うむ……。
――あんなことにこだわってるのは、なおくだらないですね。
――そう……。
――だが、少しめちゃでしたね。