Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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むじんとうにいきるじゅうろくにん

無人島に生きる十六人

須川 邦彦

Leggi 無人島に生きる十六人 (むじんとうにいきるじゅうろくにん) di 須川 邦彦 (すがわくにひこ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 100.616 caratteri · 201 schermate

Aozora Bunko

不人情な人たちと思うかもしれないが、われわれの心も察してくれ。おまえだって、りっぱなさいごだ。犬死ではない。さらば、わかれよう――これが見おさめか、さらば――」

心のなかで手を合わせたのは、船長の私ばかりではあるまい。だれの目にも、なみだがあった。

「いい船だったなあ――」

「ああ、粉みじんか、かわいそうに」

「泣くなよ」

「おまえだって、泣いてるくせに……」

ふりかえり、ふりかえり、北をさして、伝馬船は漕ぎすすんだ。

伝馬船は満員で、櫓と櫂が、やっと漕げた。小笠原老人は、岩に流れついたおわんと、ほうきのえの竹を、だいじに持っていた。

「老人、つえの用意か」

だれかがいった。すると小笠原は、

「はっはっ、つえじゃないよ。おわんだってそうだ。こんなものとみんな思うだろう。だが、つまらないと思うものが、いざとなると、ほんとに役に立つのだ。それが、世の中だ。わかい者にゃ、わからないよ。潮水の修業が、まだたりないよ」

と、いつもの調子でいってから、いねむりをはじめた。

どのくらいの時間がたったろう。時計がないので、はっきりしないが、ずいぶん長い間、漕ぎつづけた。が、島は、いっこうに見えない。