Classici giapponesi con furigana
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ろうごくのはんにち
牢獄の半日
葉山 嘉樹
Leggi 牢獄の半日 (ろうごくのはんにち) di 葉山 嘉樹 (はやまよしき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7671 caratteri · 16 schermate
一
――一九二三年、九月一日、私は名古屋刑務所に入っていた。
監獄の昼飯は早い。十一時には、もう舌なめずりをして、きまり切って監獄の飯の少ないことを、心の底でしみじみ情けなく感じている時分だ。
私はその日の日記にこう書いている。
――昨夜、かなり時化た。夜中に蚊帳戸から、雨が吹き込んだので硝子戸を閉めた。朝になると、畑で秋の虫がしめた/\と鳴いていた。全く秋々して来た。夏中一つも実らなかった南瓜が、その発育不十分な、他の十分の一もないような小さな葉を、青々と茂らせて、それにふさわしい朝顔位の花をたくさんつけて、せい一杯の努力をしている。もう九月だのに。種の保存本能!――
私は高い窓の鉄棒に掴まりながら、何とも言えない気持で南瓜畑を眺めていた。
小さな、駄目に決まり切っているあの南瓜でも私達に較べると実に羨しい。
マルクスに依ると、風力が誰に属すべきであるか、という問題が、昔どこかの国で、学者たちに依って真面目に論議されたそうだ。私は、光線は誰に属すべきものかという問題の方が、監獄にあっては、現在でも適切な命題と考える。
小さな葉、可愛らしい花、それは朝日を一面に受けて輝きわたっているではないか。