Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おぎふくうた

犀星王朝小品集

室生 犀星

Leggi 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 105.794 caratteri · 211 schermate

Aozora Bunko

「きょうもお見えになっておられます。」

弟は狩衣をつけた若い人だといった。もしやと思ったが気色にはあらわさなかった。

「何かお訊きになりませんでしたか。」

「物問いたげだったから引き返してしまったの。」

筒井はもう猶予できずに姉弟に家にはいるようにいい、とり急いで塗籠の階上にのぼって行った。その重い埃の深い扉を開けると、門前一帯が見迥かされた。門の扉のうしろに立った狩衣に烏帽子姿は、違わぬ貞時だった。

「あの方に違いなかった。もう誰にも遠慮なくお逢いしよう、進んでお逢いしなければならぬ。わたくしを捜り出された方だ。隠れて外にも出なかったわたくしを、神仏のちからさえ及ばぬこの家から尋ね出されたのだ。貞時さま、こちらにお向きあそばすよう。」

筒井は扉にしっかり掴まり少時うごかなかった。貞時はそれを知らず、筒井は急いで塗籠から下りて行った。そしてその時筒井は静かにしていられぬほど、誰かが吩咐けるように、逢えよ、逢うのはお前の礼儀でもあり、そしてかつて無断でその家を出た詫びでもあるのだ。逢えよ、逢えよ、逢いたがっているのは貞時と同じ気持ではないかと、ふしぎなちからを抑えることができなかった。