Classici giapponesi con furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Leggi 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 105.794 caratteri · 211 schermate
しかも、彼女はそういう自分の顔の中にあるつかれたものを知っていることだった。知っていてその化粧いを直して来たこまかさが、経之にやはり並大ていのはぎ野でないことを、このことだけを見立てても、わかった。もう、どこにも、眼は勿論のこと、寝不足とか疲労とか、ものだるさというもののあとが、見られなかった。
しかしはぎ野がゆうべ庭先をわたったとすれば、何処に何者のもとに忍んで行ったものであろうか、弟の定明以外には、はぎ野の忍んでゆきそうなところはない、ゆうべは定明は館の北にいた。非番で宵早くの食を終えると引きこもっていて、経之は顔を合さなかった。
定明の北のやかたは庭をよぎり、松と柏とにかこまれていて、夜は仕えの者も遠ざかって、ただ一人の唖の翁がやかたの外部屋に寝泊りしているだけで、誰も往き来はしない。何をしていようが、何者が忍ぼうが、それは定明以外の者の知るところではなかったのだ。
経之は母のもとを去ると、中の島を隔てた池の向う側を歩いて行った。冬枯れの形よく隈取られた径は、まだそのまま掃かれたことがなかった。経之はていねいに落葉のかさなりを見て行ったが、そのかさなりの外れたあたりに、人の歩いたあとがあった。