Classici giapponesi con furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Leggi 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 105.794 caratteri · 211 schermate
その時はその時だ、何事も遅いと彼は意地悪い猛り立つもののなかに荒々しい息をついた。
経之が間もなく踵を返そうとすると、不意に、全くそれは先ほどからの機会を待ちうけたように、北のやかたの方から、姿は見えないが、叢のかげから起った声が、経之のうしろから叫ばれた。
「誰か。」
経之は声の方向を眼で辿ったが、きゅうには所在が判らなかった。
「そういうのは何奴か。」
「そちらこそ何者だ。」
声は定明、そして彼は池のはじの方にある植込を前に控えて立っていた。
「経之だが、いまごろ何用あって呼び止めたのだ。」
「兄上か。」定明はさらに挑みかかるようにいった。「この夜半に庭にて何をなされていられる。」
「そちこそ何用あって庭わたりをしているのだ、胡散臭い奴だ。」
「兄上こそ身分がら夜歩きは解し兼ねまする。」
経之は冷笑った。
「女ならもう突き戻した、礫を食わして追い払ったのだ。」
「礫を!」
「たしかに額に打ち当てた、女狐は打たねばならぬ。」
定明は逆上していった。
「兄上、去られい、たとえ兄上であるとも、容赦はできぬまでに相成り申しているぞ、暗さは暗し何を仕出かすか、分り申しませぬ。