Classici giapponesi con furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Leggi 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 105.794 caratteri · 211 schermate
経之は、母へも何も明さないまま、また、行方をさがすことをしなかった。官の方は辞し北のやかたの戸を閉してしまったのである。たくわえもなければ領地もない定明はいずれは、のたれ死をするくらいが落ちであろう、経之はその年も暮れ、ふたたび冬が来、春も近づこうとする頃、北のやかたの守人のいうには、南野のはてに定明らしい者が屯しているとも言い、それは一軒のやかた作りではなく、野の臥戸のような小屋掛の中に住んでいるとのことだった。勿論、はぎ野も一緒であったが、一年に余る野の臥戸ぐらしに衣裳はやぶれ落ち、飯も自ら作ることをしないために飢えがちだということであった。
もっと悪い噂は行人や村家の物を掠め取るということが、あたりの人の口の端に上っていた。もしこれ以上に行人村家の物を掠めるようなことがあれば、村人は野を狩り立てるかも知れない、それでなくとも、村人は山麓と野の境には足跡を絶って近寄らなかった。
その年の冬は永く続いて寒さと凍みは、野の作り物を遅らせ、夏の初めには飢饉のきざしさえ見え、雨は月と月に跨っても降らなかった。村人はわずかな菜根の畠に見張りをつけるほど、食物はまるで実らなかった。