Classici giapponesi con furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Leggi 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 105.794 caratteri · 211 schermate
一人がなよやかな気高い香を贈るために女房連に頼み入れば、一人は七種香の価高いものを携えてこれを橘の君に奉れと申し出るのであった。和泉の山奥の百合根をたずさえる一人に、べつの男は津の国の色もくれないの鯛の折をしもべに担わせた。こうして通う一人は津の国の茅原という男だった。そして別の人は和泉に父をもつ猟夫であった。衣裳のはやりと絢爛を尽くした平安朝の夕々は、むしろ藍ばんだというよりも濃い紫を溶き分けた。築地の塀だけを白穂色にうかべる橘の館に、彼女を呼ばう二人の男の声によって、夕雲は錦のボロのようにさんらんとして沈んで行った。
「今宵も見えられてか。」
橘は夜になるときまって女房に一応こう聞いて、眉をひらくような美しさを瞼のうえに見せた。
「お一人様は東寄りに、べつのお一人様は西寄りの築地のかげにまいっていられます。」
「してお召物は?」
「蘇芳に紫苑の同じお好みにございます。そしてただひと目だけでもお目もじにあずかりたいとお互に申しておられます。何とぞ、ひと目だけお目にかかられますよう。」
「お一人にお目にかかりお一人にお逢いせぬ訳にはまいられませぬ。かたくおことわりあるように。