Classici giapponesi con furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Leggi 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 105.794 caratteri · 211 schermate
妙なことには二人の人は二人ともいいところがあって、別々に考えることは出来ても、一人に従き一人を悲しめるということができなかった。一人がじっと見る眼の中にある美しさは人間のいのちとすれすれにあるほとぼしりはこんなものかと思わせるほど、やるせないものだった。だのに、べつの一人の眼附はただ悲しみだけを表わして、橘をひたと見入るばかりであった。瞳というものの後側も見えるものであったら、この二人の人の瞳は実際は一つの瞳であってどちらも外すことができないものであろう。橘はどちらも好きでありどちらも引き離すことのしにくいものであると考え、それが自分で大それた考えとは思えなかった。年齢も背丈も、手つきのきゃしゃなのにも、声や顔色、そして何時も一人が蘇芳の色なら別の一人も、それに似た衣をきることも、何と似かようた二人であったろう、それに、橘一人に通うということにも、いまは、それを冷淡にかんがえるには余りにも深はまりして、その人らを見ている自分であることに気づいた。その上、若さも言いようのないものであるのに、どれも愛しく、二人ともそのまま心にしまって置きたかった。しかし女はそんなことを考えるだけでも悪いという人があったら、二人のいのちのほとぼしりはどうなるであろう。