Classici giapponesi con furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Leggi 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 105.794 caratteri · 211 schermate
たんに、ずるいとか、恥さらしとかいうふうな浅薄な考えではなく、二人とも、純な青年の心ひとすじで対っていることも基経は知っているだけ、それがどういう烈しい破れ目を見せるかが分っていた。といってこのまま、春も過ぎようとしている今、いつまでも通わせて置くことが出来なかった。塀をへだてた隣屋敷の女房たちの口にのぼる噂だけでも、基経は早くどうにかせねばならんと気をあせらせていた。基経自身でも、娘にこうまで打ち込んで来る若者のいじらしさを、娘をいとおしむ心と一緒に感じるときは呼吸を吹きかけてそだててやりたいとも思ったが、二人のうちどの人をえらんでいいかさえ分らなかった。父としての心からは二人とも、娘にほしいと思うくらい美事な青年だった。ここまで来ると基経は二人を引きはなして見ることはできず、そして二人の妙な宿命的な感じは二人の若者に父親としての愛情をしだいに醗酵させて行った。
「このままでは父が困る。」
「わたくしとてもこのままではどうにも、よい考えとてもございませぬ。」
門の前では津の国の人と、和泉の国の若者はじりじりと往来しながら、それをそうしずにいられぬ毎夜の通いを続けていた。