Classici giapponesi con furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Leggi 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 105.794 caratteri · 211 schermate
雨はいよいよ繁く、悒せさは二人にとって何か突然な出来事の期待をかけるほど、陰鬱に陥ち入らせた。
「この雨ではどうにもなるまい、帰るとしようか。」
津の国人は立って手のひらで雨の降りようをこころみていった。
「御辺がかえれば我らも帰る。」
「そしてまた明日か。」
「もっと先の日だ。いのちのあるかぎり参るぞ。」
「それならこちらもその通りいのちのあるかぎりに参る。」
「だが、津の国人、どちらかが先にいのちのない日のあることだけは、忘れないでくれ。」
「それまでおあずけ仕る。よく、ふとってたまれ。」
「刃も立たぬほどふとって退けるわ。」
二人は同時に雨の道路に飛び出した。
二人はやがて西と東に別れた。くらやみに心を配りながら、どちらも不意にひらめくかも知れない刃がしらの予感に身をかたくまもり、お互の跫音をうしろに聞き入って築地の塀ぎわを急いで行った。
津の国人と和泉の国人は憑かれたように橘の門の辺に来て、初更まで去らないことは依然続いた。橘姫はもはや恐怖に似た、次第に険悪になる若者の心のすきを、きょうも昨日も見ているようなものだった。女房たちの話によると、若者はしまいに門前で果し合いをするかも知れない、事態はその寸前まで立ちいたっているとのことだった。