Classici giapponesi con furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Leggi 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 105.794 caratteri · 211 schermate
しかし生絹をこのまま蓬生と蜘蛛の巣だらけな穴のような家に、眉を煤けさして置くのは本心ではなかった。生絹をもっと美しくして見たい心と、宮仕まで許すように深くも生絹のからだに心をつかっている右馬の頭は、いつも、最後に女としての危険を感じる奥のものに打つかり、躊躇わざるをえなかった。こういう愛しい時に誰の智恵をかりたらいいものだろうか。
右馬の頭は蘆で葺く金もいまは持たなかった。たくわえの米櫃にこおろぎが鳴き、生絹はたけの揃わぬ青菜の枯れ葉をすぐるのに、爪のあいだに泥をそめた。それも厭わぬすなおな女だった。だが、京にのぼるのぞみだけは二つの乳ぶさのまんなかに、誓文をはさみ込んでいるように棄てなかった。右馬の頭も下じもの役につき、なりわいを建てなおすことではどんなことでも辞まなかった。釣して雑魚をかついでかえっても、なりわいの足しにはならないからである。風の荒かった冬のあいだに北側の屋根ひさしは落ちかかり、壁の穴に零余子の蔓はこぞのままの枯れ葉をつけて、莢豆の莢のように干からびて鳴っていた。どちらにしても生絹とは別れて日に日を重ねて稼がねばならず、じっと垂れた頭に銭が鳴って聞えるのであった。