Classici giapponesi con furigana
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どくしん
独身
Leggi 独身 (どくしん) di Mori Ōgai (森 鴎外) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9012 caratteri · 19 schermate
参
参
戸川は両手を火鉢に翳して、背中を円くして話すのである。
「そりゃあ独身生活というものは、大抵の人間には無難にし遂げにくいには違ない。僕の同期生に宮沢という男がいた。その男の卒業して直ぐの任地が新発田だったのだ。御承知のような土地柄だろう。裁判所の近処に、小さい借屋をして、下女を一人使っていた。同僚が妻を持てと勧めても、どうしても持たない。なぜだろう、なぜだろうと云ううちに、いつかあれは吝嗇なのだということに極まってしまったそうだ。僕は書生の時から知っていたが、吝嗇ではなかった。意地強く金を溜めようなどという風の男ではない。万事控目で踏み切ったことが出来ない。そこで判事試補の月給では妻子は養われないと、一図に思っていたのだろう。土地が土地なので、丁度今夜のような雪の夜が幾日も幾日も続く。宮沢はひとり部屋に閉じ籠って本を読んでいる。下女は壁一重隔てた隣の部屋で縫物をしている。宮沢が欠をする。下女が欠を噬み殺す。そういう風で大分の間過ぎたのだそうだ。そのうちある晩風雪になって、雨戸の外では風の音がひゅうひゅうとして、庭に植えてある竹がおりおり箒で掃くように戸を摩る。